はじめに
高崎市美術館で2025年1月18日(土)から開催中の企画展「英国王室に咲くボタニカルアートとウェッジウッド~植物画のおいたち~」展を見に行ってきました。

ウェッジウッドは、英王室御用達の伝統的な陶磁器メーカーであるため、以前から憧れがあって、今回の企画展を楽しみにしていました。
高崎市美術館とは?
*JR高崎駅から徒歩3分ほど。
駅から歩いて行ける公立美術館。
時間帯によっては、庭園の散策もできます。
11時台と16時以降が空いていることが多いようです。
グレーのツインタワーのようなモダンな建物。
駅から歩いて行ける公立美術館は貴重です。
庭園の散策ができるときもあるので、気分転換にもおすすめです。
カフェやレストランはなく、休憩コーナーに飲み物の自動販売機があって、そこで飲めるようになっています。
「英国王室に咲くボタニカルアートとウェッジウッド~植物画のおいたち」展の紹介~
18~19世紀の英国は、芸術と科学のかつてない隆盛をみます。
なかでも植物学と陶磁器の発達は目覚ましく、人々の教養と生活の質向上に寄与しました。
1760年に即位したジョージ3世とシャーロット王妃は世界各地の植物収集や国内の庭園整備を支援し、王室と植物学との繋がりを深めました。
シャーロット王妃は陶磁器産業の発展にも貢献しました。
1759年に創業したウェッジウッド社は王妃から「クイーンズウェア」の称号を与えられ、世界屈指の陶磁器メーカーとしての地位を確立します。
本展覧会では、ボタニカルアートを代表する植物図鑑『カーティス・ボタニカル・マガジン』を中心とした植物画の優品と、ウェッジウッドほか英国陶磁器の名品を紹介します。
*企画展パンフレットより一部抜粋。
2024年夏に群馬県立近代美術館で開催された「英国キュー王立植物園 おいしいボタニカル・アート 食を彩る植物のものがたり」展との違いは?
「おいしいボタニカル・アート」展
昨年夏に群馬県立近代美術館で開催された、この企画展は、タイトルに‘’おいしい‘’と付けられているように、植物画のなかでも、フルーツや野菜の絵が中心に展示されていました。
どれも、みずみずしく、魅力にあふれていて、会場でも、「おいしそう!」という声が聞こえました。
また、アフタヌーン・ティーとハイ・ティーの違いなど、おもにイギリスのお茶の習慣や歴史についての解説が多かったです。
そのため、ウェッジウッドなどの陶磁器は、ティー・セットがおもに展示されていました
「英国王室に咲くボタニカルアートとウェッジウッド~植物画のおいたち」展
今回の企画展は、タイトルに‘’咲く‘’とあるように、会場で展示されていた植物画は、すべて花を描いた作品でした。
それらのなかには、見慣れた種類の植物ばかりでなく、アメリカや東アジア由来のエキゾティックなものや、見たことのないユニークなものなどがあり、大変興味深かったです。
また、トケイソウの花を描いたものが目立ったので、イギリスで当時人気があったのかもしれないと思いました。
今回の企画展を見に来る目的であった、ウェッジウッドの陶磁器は、ティー・セットだけではなく、高さ30センチから50センチぐらいはありそうな大型の品も展示されていて、見応えがありました。
とくに、ポートランドの壺や大型の花器が目を引きました。

つまり、2つの企画展の図録を読むと、イギリスのお茶文化やボタニカルアートについて幅広い知識が得られそうです。
★ジョサイア・ウェッジウッドとは?★
1730年生まれ1795年没。
英国の著名な陶磁器メーカー、ウェッジウッドの創設者。
エナメルを用いたクリーム色の陶器を完成させ、シャーロット王妃に献上し、1765年に女王の陶器を意味する「クイーンズウェア」の名称使用が許可され、王室御用達となった。
*企画展図録より抜粋。
★ジャスパーウェアとは?★
薄い青色の地に古代ギリシャ・ローマを彷彿とさせる白色の浮彫装飾(カメオ)を貼り付けた、ウェッジウッドの代名詞的なシリーズ。
このジャスパーウェアは、ウェッジウッドの製品の中でもとくに伝統的で美しいと思いますが、今回展示されているような大きなものは初めて目にしました。
*企画展図録を参照。
★ポートランドの壺とは?★
古代ローマ時代のカメオ・グラスの傑作。
ジョサイア・ウェッジウッドが、ジャスパーウェアで再現することに成功。
オリジナルのカメオ・グラスの質感や、「ポートランド・ブルー」と呼ばれる深い青色などの再現に苦労したようです。
絵柄は、神話が題材になっていると思われます。
*企画展図録を参照。
企画展を見た感想
今回の企画展を見て、とくに興味深かったのは ‘’水彩道具箱‘’ です。
その名のとおり、19世紀ごろに実際に使用されていた、水彩画を描くための道具が入った、道具箱です。
木の箱に、パレットや、水を入れる丸皿がいくつか並べて入れてありました。
当時の画家が使った画材道具の実物を見るのは初めてで、このような道具を使って絵を描いていたことを想像すると、感慨深かったです。
写真撮影不可だったので、写真をお見せできないことが残念です。
ウェッジウッドは、イギリスの伝統的な陶磁器メーカーなので、憧れがあり、以前から、今回の企画展を楽しみにしていました。
昨年夏に群馬県立近代美術館で開催された企画展のときよりも、サイズが大きくて、高価そうなものがいくつか見られました。
同じくイギリスの陶磁器メーカーである、ダービーの品も展示されていました。
こちらは、花をモチーフにした、かわいらしいデザインのものが多いと思ったのですが、企画展の図録によると、フランスの影響を受けていると書かれていたので、優美なものが多いのだと納得しました。
ウェッジウッドと違って、写真撮影不可でしたが、雰囲気だけでもお伝えしたいと思い、飾り皿のラフなスケッチだけ載せておきます。
ポイントとして使われている緑色の部分が、よく見るとピーマンであるところがかわいいと
思いました。
全体を通して、絵を描くときの参考にしようという目線で作品を見て、最も参考になると思ったのが、展示室1の「セレニケレウス・グランディフロルス(大輪柱)(サボテン科)」と「ウィングド・パッション・フラワー(トケイソウ科)」の2つです。
どちらも、エキゾティックな雰囲気をもっていることと、細部まで丁寧に描かれているところに魅力を感じました。
トケイソウは、英名がPassion flowerで、「キリストの受難の花」の意味らしいので、ボタニカルアートや、陶磁器の絵柄として、好まれたのかもしれません。
2作品とも写真撮影不可でした。
ミュージアム・ショップの紹介
高崎市美術館のミュージアム・ショップは、ショップというよりは、受
付コーナーの隣にグッズ販売コーナーが設けられているという形をとって
います。
しかし、企画展の図録は毎回販売されていますし、グッズも、少数ながら、美しいものが多く、厳選されているという印象を受けます。
企画展にもよりますが、絵はがきや栞、クリアホルダーなどを扱っていることが多いようです。
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