東京国立近代美術館 「ヒルマ・アフ・クリント展」

博物館

開催概要

 

メイ
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竹橋の東京国立近代美術館で開催中の企画展「ヒルマ・アフ・クリント展」を見に行ってきました。

*会  期:2025年3月4日(火)~2025年6月15日(日)
*休館日:月曜日(ただし3月31日、5月5日は開館)、5月7日(水)
*開館時間:10:00~17:00(金曜日・土曜日は10:00~20:00)
      入館は閉館時間の30分前まで

 

見どころ

すべて日本初公開です。「神殿のための絵画」をはじめ約140点で画業の全貌を明らかにします。

画家の存命中、および死後も長らく、ほとんど展示されることのなかった作品約140点が一堂に会します。ヒルマ・アフ・クリントの今日の評価を決定づけた代表的作品群「神殿のための絵画」(1906~1915年)を中心に、ノートやスケッチなど絵画以外の資料も展示し、画家の制作の源泉を探るとともに、画業の全貌を紹介しています。

 この企画展のハイライトは、代表的作品群「神殿のための絵画」のなかでも異例の巨大なサイズで描かれた10の最大物(1907年)です。

人生の4つの段階(幼年期、青年期、成人期、老年期)を描いた、10点組の大作で、高さは3メートルを超えます。多様な抽象的形象、画面からあふれでてくるようなパステルカラーの色彩、そして圧倒的なスケールは、観る者を一瞬で引き込み、まるで異空間を漂うかのような唯一無二の体験に誘います。

2018~2019年に、ニューヨークのグッゲンハイム美術館で開催された大規模なヒルマ・アフ・クリントの回顧展は、当時同館史上最多の60万人を超える来館者数を記録しました。

*企画展公式ホームページを参考にしました。

作品の紹介

今回の企画展で展示されていた作品が豊富なため、そのなかで、とくに魅力を感じたり、気になったものをいくつかご紹介します。

なお、掲載させていただいた作品の写真は、すべて、ヒルマ・アフ・クリントの作品を、今回の企画展の会場で撮影したものです。

「夏の風景」1888年 スウェーデン、ドルシアホテル蔵

メイ
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個人的主観ですが、今回会場で展示されていた作品の中で、この作品が最も美しいと思いました。

のちの「神殿のための絵画」作品群とは違って、写実主義的な絵画で、色彩をおもに茶色と緑の二色におさえた点や、画面手前から奥へと続く道によって鑑賞者の視線が誘導されて奥行きを感じる点、また、1本1本丁寧に描かれた草の描写が素晴らしいと思いました。

かすかに草がゆれているように見えるところから、風の存在を感じられるようです。

‘’ヒルマ・アフ・クリント=抽象画のパイオニア‘’という先入観があったため、このような作品を会場で見られるとは思っていませんでしたが、アカデミー出身で、たしかな技術をもっていたからこそ、抽象画の大作を遺せたということが、このような作品の存在によって裏付けられていると感じました。

「10の最大物」

「神殿のための絵画」という、193点の作品からなる作品群の中でも、その大きさと美しさからひときわ鑑賞者の目を引き付けるグループが、「10の最大物、グループⅣ」です。

今回の企画展のメイン・ビジュアルにも採用されていることから、ヒルマ・アフ・クリントの代表作として評価されているのだと思います。

 高さが約3メートル、幅が約2メートルあり、展示室のほぼ床から天井近くまでを占めており、ほかの入館者の皆さんも圧倒されているように見えました。

タイトルどおり10枚の絵画から構成されています。

各作品の正面の壁沿いにベンチ(あるいは椅子?)が設置されており、そこに座って作品をじっくり鑑賞している人、接近して細部まで観察する人、写真を撮っている人など、思い思いの方法で作品の世界を楽しんでいるようでした。

 作品の大きさの割には、パステル調の優しい色彩と、植物、果物、動物などを基本としたかわいらしいモティーフのため、威圧感はまったく感じられませんでした。

とくに、№2~№4の3作品は、見た瞬間、「おいしそう!」と思ってしまいました。

№2「幼年期」の左上部分に描かれているモティーフは、私に、シンガポールでたくさん食べたマンゴスチンを思い出させます。見る人によっては、違う物を連想させられると思います。

 会場に行く前は、交霊会で霊的存在から受け取ったメッセージを描いたものと解説に書かれているのを読んで、「難解だな」と思ったのですが、実際に作品の前に立って、結局は、観る人の感性で受け止めてよいのでは?と思いました。

作品をじっくり見てみると、「幼年期」は、細胞のようなモティーフが描かれていて、「青年期」は、オレンジを多く使っていて生命エネルギーにあふれているイメージで、「成人期」は、少しくすんだピンクの背景に変わって成熟したイメージだし、「老年期」は、赤系だけど色がだんだんあせていく表現になっていて、年齢とともに移り変わっていく様子を感じ取ることができました。

 また、キリスト教について詳しくは知らないのですが、№10以外の9作品に卵のようなモティーフが現れていることから、‘’このグループのテーマ=復活‘’とも感じられるのかなとも思いました。

 自分は現在、何番目の作品のところで、最も好ましく見える作品とどれくらい離れているのだろう?などと考えながら見てみると、楽しかったです。

*「10の最大物」は、すべて1907年の制作です。

№1「幼年期」                           №2「幼年期」

№3「青年期」                          №4「青年期」

№5「成人期」                           №6「成人期」

№7「成人期」                           №8「成人期」

№9「老年期」                           №10「老年期」

 

ミュージアム・ショップの紹介

メイ
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ミュージアム・ショップは、展覧会を訪れる際の楽しみの一つだと思います。

昨年12月に国立西洋美術館のモネ展のミュージアム・ショップが混みすぎて入れなかったのがショックだったので、今回は、ミュージアム・ショップをゆっくり楽しむことができて、大変満足でした。

展示室の混雑状況も、モネ展のときは、ほぼ身動きがとれない状態でしたが、今回の企画展は、平日は、各展示室の半分のスペースがあいているという印象で、ゆっくり鑑賞することができました。

企画展の図録は、どの美術館を訪問する際にもだいたい毎回購入しているので、今回も購入しました。

写真が豊富で、拡大写真もいくつか掲載されていて、解説も多く、読みごたえがあります。

「ヒルマ・アフ・クリント展」は、今回がアジア初上陸だということなので、この図録は貴重な資料だと思います。

「10の最大物」が美しいので、ポスターが欲しいと思っていたのですが、ミュージアム・ショップで扱っていた商品は、想定していたものの2倍のサイズで、部屋に飾るのには不向きなのと、長距離列車に乗って持ち帰るのには大きいので、断念してポストカードを購入しました。

「10の最大物」をプリントしたTシャツがかわいかったのですが、値段を見て、これも断念しました。しかし、価格に会う価値はあると思います。

そのほかに、ブックマーク、キーホルダー、書籍やクリアホルダーなどがありました。レジは空いていて、快適に買い物ができました。

 

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