はじめに
1年半ほどブログ活動を休止しておりました。
再開しましたのでよろしくお願いします。
改めまして、メイです。
美術館・博物館めぐりが趣味です。
都内や地方の美術館・博物館を気ままに訪れて、
気づいたことや感想などを引き続き書いていきたいと思います。
よろしくお願いします。
今回は、上野の森美術館で開催中の「モネー連作の情景」を見てきました。
モネは、セザンヌとゴッホと並んで大好きな画家なので、
今回の企画展を1年以上前からとても楽しみにしていました。
モネー連作の情景
2023年10月20日(金)~2024年1月28日(日)
<基本情報>
・東京会場:上野の森美術館
東京都台東区上野公園1-2
上野駅JR公園出口から徒歩3分
☎ 03-3833-4191
・開館時間:9:00~17:00(金・土・祝日は19:00まで)
入館は閉館30分前まで
・会期中の休館日:2023年12月31日(日)、2024年1月1日(月・祝)
・チケット
<企画展のコンセプト>
モネの多くの作品の中でも「連作」に着目し、国内外40館以上から60点以上
を厳選した「100%モネ」の展覧会。
モネの画業の歴史を第1章から第5章までの5期に分け、それぞれの代表作を
展示しています。
◆連作とは
同じ対象を季節や時間、天候を変えて描く制作方法。
モネの作品では、睡蓮や積みわら、エトルタ、ポプラ並木、ルーアン大聖堂の
シリーズなどが有名。
第1章 印象派以前のモネ
「これは、モネ?」
印象派以前のモネの作品を展示しています。
たびたび拠点を移し、旅をしながら作品を制作したモネの足跡を たどりながら作品を鑑賞できます。
サロンに落選した、初来日の大作『昼食』をはじめと
する、30歳前後までの作品が中心です。
私はモネが大好きなので、美術展で作品を鑑賞しているし、画集も持っていますが、この時期の作品は、モネだよと言われないとモネだと気付かなかったでしょう。
昼食
今回の展示でも特に目立つ、大きな作品(縦231.5センチ×横151.5センチ)で、
初来日の室内画です。
描かれている人物は4人です。
のちにモネの妻となるカミーユと長男のジャンが昼食の食卓についています。
黒衣の訪問者の女性が左側の窓にもたれて2人を見つめています。
カミーユの背後に、様子を窺う使用人の女性が見えます。
食器を片付けるか、食後のお茶を出すタイミングを量っているのかもしれません。
注目したいのは、一番手前に、日本のものらしい、白いこけしと毬(または
紙風船)が転がっている部分です。
企画展の公式図録ではほとんど確認できないので、会場で鑑賞しなければわからないと思います。これらがあるとないとでは、作品から受けるイメージが異なってくるので、やはり実物を鑑賞することは重要だと思いました。
これらがあることによって、モネが息子にこれらを買い与え、息子が直前まで遊んでいたので、床に転がっているのかなとか、モネが日本趣味の物を収集していたのでは、などと鑑賞者の想像が自由に膨らむ効果があると思います。
先程まで遊んでいて放置されたような様子から、親子の日常が垣間見えるような気がします。
サン=タドレスの小屋
画面の半分以上を青い海が占めていて、のちのモネの作風を連想させる、明るい色彩で描かれた作品。
中央の煙突の赤と白が効いています。
ザーン川の岸辺の家々
今回展示された作品のなかで、初鑑賞かつ特に魅力を感じた作品の1つです。
画家は、川のこちら側から、向こう岸の家々を眺めています。
家の背後には木立、散歩中の女性2人の姿も見えます。
水面は穏やかで、家の姿がはっきりと反映しています。
作品の主役である家は、北欧やドイツで見られる、特徴的なデザインのかわいらしい家です。
外壁の色も、1階はピンクに近いベージュ、2階は柔らかな黄緑色で、窓や壁に白い縁取りが付いて、砂糖菓子のようです。
主役の家のかわいらしさが際立つ作品でした。
第2章 印象派の画家、モネ
「第1回印象派展の作品が並ぶ」
モネが1871年にアルジャントゥイユで暮らしはじめ、1878年にセーヌ川沿いのヴェトゥイユへ移った頃の作品の展示です。
モネにとってこの当時の重要な出来事としては、1874年に「第1回印象派展」をルノワールたちと開催したことが挙げられます。
このとき、「印象派」の名前の由来になった、モネ作『印象、日の出』が発表されました。
モネのアトリエ船
美術史の本で見たことのある作品。
ボートの上に小屋が付いているもので、川の上を移動しながら、移り行く風景を描くために作ったものらしい。
この船のおかげで、雨の日でも描くことができました。作品『アトリエ船』の方では、船上に2人の人物が見えます。
よく一緒に屋外に描きに出かけたという、マネかルノワールかなと
想像しながら見ると面白いです。
第3章 テーマへの集中
第2章と同時期に描かれたが、より「連作」の特徴をもつ作品を展示しています。
『アヴァルの門』
『ラ・マンヌボルト(エトルタ)』
『エトルタのラ・マンヌボルト』
『エトルタ』
これらは、有名なエトルタの断崖を描いた作品です。
他の多くの画家も作品のモチーフにした、人気の景勝地です。
第4章 連作の画家、モネ
なんといっても、『積みわら』
『積みわら』などの代表作が並ぶ。
モネは、1881年にセーヌ川沿いのポワシーに写り、1883年にセーヌ川沿いのジヴェルニーに移りました。
この頃に描かれた『積みわら』が、最初の「連作」だといわれています。
『ジヴェルニーの積みわら』
『積みわら』
『ジヴェルニーの積みわら、夕日』
『積みわら、雪の効果』
有名な「積みわら」シリーズです。
企画展公式HPによると、一口に「積みわら」といっても、2種類あるそうです。
1つは、家畜の飼料用の干し草の山です。
今回の展示でいうと、『ジヴェルニーの積みわら』と『積みわら』が該当します。
雑然と積み上げられている形に見えます。
もう1つは、脱穀前の麦を積み上げたものです。
『ジヴェルニーの積みわら、夕日』と『積みわら、雪の効果』が該当します。
これらは、きちんと円錐形に積み上げられています。
『積みわら、雪の効果』の「積みわら」は少し雪をかぶっていて、洋菓子のモンブランのようにも見えます。
第5章 『睡蓮』とジヴェルニーの庭
これこそ‘’モネ‘’ 代表作『睡蓮』がトリを飾る!
モネがジヴェルニーに移ってから、「花の庭」と「水の庭」を造り、有名な『睡蓮』の連作を中心とする、数々の作品を制作した時期です。
第4章と第5章の一部の作品は写真撮影が可能でした。
撮影可能なものは、作品のそばにカメラのマークが表示されていました。
芍薬
日本の赤い芍薬の鮮やかさが、第5章の数々の作品の中でもひときわ目立っ
ていました。
夏の陽射しから花を守るため、屋根を作ってあげてあることからもモネが花
に愛情をそそいでいたことがよくわかります。
睡蓮 睡蓮の池 睡蓮、柳の反映 睡蓮の池の片隅
言わずと知れた、モネの代表作『睡蓮』シリーズです。
『睡蓮、柳の反映』と『睡蓮の池の片隅』の2作品は、全体に暗い色彩で描かれていて、晩年の目
の病気の影響が出ているのでは、と思いました。
『睡蓮』は、今回の企画展のメインビジュアルで、ポスターや図録の表紙などに使用されています。
ここで描かれている睡蓮は、花弁が尖っていて茎の長い東洋の品種ではなく、茎の短い、西洋の品種であることがわかります。
花弁は少し内側に巻いて、花の中心部を優しく包んでいて、ティーカップのような形をしています。
のちの『睡蓮』と違って、水面への映り込みはなく、水は暗い色で、花だけが目立つように描かれています。
薔薇の中の家
カンヴァス中央右側に配置された家は、植物に覆いつくされているように見えます。
緑が多く使われている中で、家と、左側の木のように見えるものの紫が際立って、美しく見えます。
~企画展を見終わって~
展示のラストは、ジヴェルニーの睡蓮の池の写真でした。
この写真の中の睡蓮は花弁が尖っているので、おそらく西洋の品種や東洋の品種などさまざまな
種類の睡蓮を植えていたであろうことが窺えます。
今回、上野の森美術館を始めて訪問しました。
大きな美術館のほとんどが日時指定予約制になってから今までに訪問した美術展の中で、今回が一番混雑しているように感じました。
平日の午前中の訪問であるにもかかわらず、来館者の多くが20代から30代の女性であるのも初めて見る光景でした。
美しいモネの作品が日本の女性にとても愛されていることを目の当たりにした思いです。
今回初めて、音声ガイドを借りてみました。
ナレーションは、女優の芳根京子さんと声優の下野紘さん。
わかりやすく要約された解説を聞きながら展示作品を鑑賞できるので、学芸員のガイドツアーに参加している気分で鑑賞できました。
ミュージアムショップに入るために10分ほど並んだのも、初体験でした。
企画展の規模と来館者数の割にショップの面積が狭いため、入場制限が行われていて、チケットのQRコードの確認も行われていました。
企画展とのコラボグッズは種類が充実していましたが、混雑していたためゆっくり選べませんでした。
土日はさらに混雑が予想されるため、あらかじめ公式HPでグッズをチェックしてから行かれることをおすすめします。
私は、企画展の図録、額絵、かわいい睡蓮の絵の缶入りのダージリン風味のクッキーを購入しました。額絵とクッキーは、自分用とお土産用に買いました。
Tシャツは数種類の絵柄がありましたが、すべて半袖でした。
周囲を見た限りでは、Tシャツがよく売れているように見えました。
図録は写真が豊富で、クオリティが高く、画集のようです。
ミュージアムカフェは休業中と書かれていたので、国立西洋美術館の「カフェ すいれん」で「パリ ポンピドゥセンター キュビスム展―美の革命企画展特別コース」を頂きました。
国立西洋美術館では、チケットなしでもカフェとミュージアムショップを利用することができるので、美術館や博物館を訪れるときに重宝します。
カフェでは、中庭を眺めながら食事を楽しむことができます。
*使用した写真はすべて無料素材のもので、今回展示されていないものも含まれています。
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