群馬県立近代美術館_前半

博物館

― 「群馬の森」の美術館 ー

◆住所:群馬県高崎市綿貫町992-1(群馬の森公園内)
◆TEL:027-346-5560
開館時間 :午前9:30~午後5:00 (入館は午後4:30まで)
年間 休館日:毎月曜日、休日の場合はその翌日。
このほか展示替等のため休館する場合があるそうです。

群馬県立近代美術館は、県立公園「群馬の森」内に、「群馬県立歴史博物館」と並んで建っている美術館です。
「群馬の森」とは群馬県立の都市公園(総合公園)で名前の通り大規模な樹木をふんだんに配置した公園です。公園内には、広い芝生、犬を連れて歩ける遊歩道、森、池などが整備されていて、多くの家族連れや中高年のみなさんでにぎわっています。

建物の設計は、世界的な建築家・磯崎氏です。
美術館の公式ホームページによると、建物の構成要素はすべて、12メートルを基準とした寸法の正方形となっていて、磯崎氏は、1975年に、この建築によって第27回日本建築学会賞を受賞しています。
建物の外壁は白に近いグレーで、隣接する博物館の黒い外壁とのコントラストも見事です。
美術館のレストラン部分の外部には人工池があり、彫刻家・宮脇愛子の作品『うつろひ』が展示されています。

― 「線のメルヘン 南桂子と銅版画家たち」 ー

群馬県に緊急事態宣言が発令される前の2021年8月4日に、群馬県立近代美術館へ行って、開催中の企画展「線のメルヘン 南桂子と銅版画家たち」を見てきました。

『群馬の森美術館ニュース №185』(2021年7月1日発行)によると、によると、「南桂子(1911年~2004年)は、少女や鳥などを細い線で描き出し、メルヘン的な抒情性を持つ作品で知られる銅版画家」です。

今回の企画展では、南桂子の作品67点と他の作家による作品25点が展示されています。
どれも、美しく優しく、どこか儚げな印象を受けました。
また、私のような美術史の初心者にとって親切なことに、展示室の入口を入ってすぐのスペースに、銅版画の解説パネルが掲示されていました。
このパネルでは、銅版画のおもな種類とそれぞれの特徴、製作に使用する道具などが、写真付きでわかりやすく解説されていました。
とても丁寧な説明ですが、動画があるともっとわかりやすいと思いました。

― コレクション展示 ー

2階の展示室2には、ほぼ常設に近い形でコレクションが展示されています。

ここを訪れるといつでも、ルノワールやモネやムンクやピカソその他の素晴らしい作品に会うことができます。
都会の大きな美術館に行かなくても、群馬の親子が遊びに来る県立公園内の美術館で見られることが本当にありがたく、ステキなことだと思います。

私は、子どもが幼かったころ、よく一緒に来ました。
優しい思い出がいっぱい詰まった、宝石箱のような美術館です。

その当時、最も印象に残った作品は、モネの『睡蓮』です。
花の輪郭を線で描かずに、塗り重ねてクリームのように柔らかく描いているように見えたことを覚えています。
また、ここの『睡蓮』は、国立西洋美術館や三菱一号館美術館で見た作品と比べ、紫が多く使われていて、暗めの印象を受けます。
手持ちの『WATER LILIES』の画集の写真と照らし合わせたところ、冬の風景であることがわかりました。

展示室2の入口を入って左側の壁には、安井曾太郎や岸田劉生、佐伯祐三その他の近代日本絵画が、右側の壁には西洋の近代絵画が、そして中央には、ロダンとマイヨールの彫刻が展示されています。
西洋絵画の一番手前に、この美術館のメイン・ビジュアルに使用されている、ルノワールの『読書するふたり』が展示されています。
美術館の解説によると、モデルのマルゴという女性と、ルノワールの弟が並んで読書している様子
を描いた作品だということです。
微笑ましく優しい雰囲気の作品であり、これをメイン・ビジュアルとすることで、美術館のイメージも親しみやすいものになっていると思います。
「読書するように気軽に訪れて」というメッセージが伝わってくるような感じがします。

ほかにお気に入りの作品としては、ムンクの『オースゴールストランの夏』があります。
『叫び』などの他のムンク作品のような暗さはなく、夏を楽しんでいる感じが伝わってきます。
美術館の解説によると、オースゴールストランとは、オスロから車で2時間ほどのところにある小さな漁村であり、ムンクが1880年代から生涯にわたって繰り返し訪れたお気に入りの場所だそうです。
画面が、上から、水平線と地平線で3分割されているように見える構図が特徴的だと思いました。

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